ダイオキシンと食物の汚染

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  ダイオキシンの発生とその量

 皆さんもご存じのように、ダイオキシンは、主にゴミ焼却炉で作られます。ごみの中のプラスチックやビニールに使われているポリ塩化ビニールとポリ塩化ビニリデンという物質が、その主要な原因です。そのようなことから、プラスチック類などは一般ゴミに混じらないように不燃物として分別収集しているのです。それ以外では、産業廃棄物焼却施設からも高濃度のダイオキシンが発生しています。ダイオキシンのもととなるプラスチックなどの物質が、たくさん燃やされているからです。
日本におけるゴミ焼却場の数は、地方自治体が管理する公共のものだけで1854カ所もあり、ドイツの53カ所と比べると30倍以上も多いのです。このほかに産業廃棄物の焼却場なども合わせると、5万を超えていると言われています。
大気中のダイオキシン濃度ですが、日本(都市部)は0.18〜1.61ピコグラム、ドイツ(都市部)は0.07〜0.35ピコグラム(1立方メートル当たり)となっており、日本はダイオキシンの汚染が深刻です。日本におけるダイオキシンの発生量は、5,140〜5,300g(一年間)になると試算されています。(環境庁)このダイオキシンの大部分は、焼却灰に含まれることになり、一部は大気中に拡散されていくことになります。ドイツでは年間約400gものダイオキシンを発生させていた時期がありましたが、厳しい基準を設定し管理することによって、その結果、その数値は年間4gにまで激減しました。つまり、100分の一に減らすことが出来たのです。この値と比べると、日本における発生量は余りにも多いのです。
かなり以前から日本においてもダイオキシンの危険性が指摘され、ゴミの減量化、プラスチック類のリサイクル、高温焼却炉への改善などさまざまな取り組みがなされ、ダイオキシンを減少させる活動が続けられていますが、さらなる努力が必要です。
  ダイオキシンの毒性

 ダイオキシンは、人類が作った化学物質の中で”至上最強の毒物”とも言われ、とても危険な毒性を持っています。その毒性の強さは、ある実験結果によって、1gで約1万7000人を殺せるほどです。サリンだと500人の殺傷力があるといわれていますから、これだけでも、ダイオキシンはサリン以上のとんでもない猛毒だと言うことがわかります。
ダイオキシンの毒性は、下の表のようになっています。その中でも特に恐れられているのは、「生殖毒性」と「催奇形性」といわれるものです。
生殖毒性には次のような症状があります。まず女性において、妊娠率低下の原因の一つとして、ダイオキシンが考えられます、。なぜかというと、ダイオキシンによって子宮内の細胞が正常に機能しなくなる子宮内膜症により、妊娠率が低下してしまうわけです。さらに妊娠しても、それが流産、死産の原因にもなっています。男性においては、男性ホルモンの減少精子数の減少につながっていると考えられます。この50年で、男子の精子数が半分に減ってしまったという研究報告もあります。
また赤ちゃんが生まれても、未熟児・脳障害児・奇形児などの「催奇形性」の増加につながっています。このようなことは、ベトナム戦争時米軍の撒いた枯れ葉剤(ダイオキシンが含まれていた)の影響によって、多数報告され、国際的に問題になりました。(ベトちゃんドクちゃん)
なんといっても一番怖いのは、長年にわたって母親の体にため込まれた猛毒ダイオキシンの半分もの量が、胎盤や母乳を通じて一気に赤ちゃんへと移ってしまうことです。そして皮肉なことに、そのおかげで母親の体内のダイオキシンは半分ほどに減り、汚染が少なくなるのです。産まれてきた赤ちゃんは、あの小さな体に母親の中にあった「半分もの大量のダイオキシン」を一身に引き受け、汚染されることになるのです。
母乳にダイオキシンが多いのは、脂肪にたまりやすいという性質をもっているからなのです。しかし、母乳(初乳)は、免疫物質が多く含まれ、アレルギーの障害も少なく、お母さんと赤ちゃんのスキンシップのためにも大切です。そのためには、普段の生活においてダイオキシンを体の中に入れないようにすること、すでに体の中にたまってしまったダイオキシンは、食生活の工夫などでなるべく早く体の外へ出してしまうことです。               


  ダイオキシンの毒性
急性毒性 数週間で死亡に至る。
催奇形性

ベトナム戦争の枯れ葉剤で多発。
シャム双生児、四肢の異常、口蓋裂、無脳症
生殖毒性 子宮内膜症、流産、死産、精子数減少、性行動異常
免疫毒性 インンフルエンザ、伝染病など、病気一般に罹りやすくなる
発ガン性


ほとんどの動物で起きる。人間についても化学工場の従業
員、セベソやベトナムでの被ばく者、カネミと台湾の油症で
認められる


  ダイオキシンに汚染された魚

 食物、大気、土壌、水に含まれるダイオキシンの中で、私たちの体に取り込まれる95%は、食物からです。さらに、その中の約60%は魚介類の摂取によるものです。こうしたことから、私たちにとって魚介類が最も大きなリスクファクターです。よって、魚介類からのダイオキシンをいかに少なくするかがポイトになります。
焼却炉などからでたダイオキシンは、最終的には海に流れ出て沖へ流されることはほとんどなく沿岸部にどんどんたまります。その沿岸部にいる魚が汚染されていくことになります。汚染の可能性の大きい魚は、沿岸部で採れる小型の魚です。汚染が進んでいる沿岸部で採れた魚にはそれだけ不安がありますが、汚染が少ない沿岸部で採れた魚は比較的安全と言えます。太平洋側より日本海側の沿岸部、都市部より地方で採れた魚が比較的その汚染が少ないようです。しかし余り神経質になっては、食べる物がなくなってしまいます。私たちにとって、魚は大切な栄養源ですので、魚を買うときにはその産地を確認し、汚染の少ない沿岸部で採れた魚を買えば安心です。
一方、ダイオキシンは脂肪にたまりやすい特性をもっているため、脂肪の少ない魚介類、エビ、カニ、タコ、イカ(肝臓を除く)、貝類などはダイオキシン濃度が高くありません。
  ダイオキシンが野菜を汚染する経路は、三通り考えられます。

 一つ目は、大気中のダイオキシンが、粉塵などの微粒子について野菜の表面を汚染します。この場合は、流水中できちんと洗えば落ちます。
 二つ目は、大気中のガス状のダイオキシンが、野菜の表皮下の層にまで浸透して汚染します。この場合は、外側の葉を取り去ったり、切り取って表皮下層を露出させてからゆでこぼしたりすることで防衛できます。
 三つ目は、ダイオキシンに汚染された土が、野菜に付着して汚染します。この場合は、流水の中でこすって土をしっかり洗い落とせば、防衛できます。
なお、ダイオキシンは水に溶けにくいので、野菜がダイオキシンを根から吸い上げることはほとんどありません。つまり、表面やそのすぐ下の層を注意すれば大丈夫で、中身には不安はありません。
  ダイオキシンの許容量

 厚労省、環境庁は、体重1kg当たり1日4pg(pg=1兆分の1g)を目安の値(耐容一日摂取量)としています。一般的な食品からの取り込み量は、0.57〜3.40pg/kg体重/日程度(環境庁、平成14年度調査)の範囲と言われていますが、ゴミ焼却施設の周辺など条件の厳しい場合には、もう少し多量に取り込んでいることも考えられ、その基準を超えている可能性もあります。尚、残留農薬の量を表す場合mg(1kg当たり)を使いますが、ダイオキシンで使われるpgは一兆分の一gを表していることからもわかるように、ダイオキシンの残留量がいかに微量でも、その影響が大きいか危険であるかがおわかりいただけると思います。
アメリカでは環境保護庁が、体重1kg当たり1日0.01pg日本の1000分の一)とすることを提案中です。WHOの耐容摂取量は、体重1kg当たり1日1〜4pgとしています。
ダイオキシンの耐容一日摂取量の基準は国際的な機関や国などによってバラバラですが、”史上最強の毒物”であることを考えれば、自らの安全性を確保するために、現在世界で比較的厳しい耐容一日摂取量(WHOの耐用摂取量の最小値1pg)、体重1kg当たり1日1pgを超えないような水準が妥当なところではないだろうか。とすれば、日本のほとんどの地域において、ダイオキシンの発生を減らす努力が必要であると考えられます。


        ダイオキシンの測定で使われる単位

      ng(ナノグラム)=10億分の1g
      ppb=10億分の1の濃度(1g中1ngの濃度)

      pg(ピコグラム)=1兆分の1g
      ppt=1兆分の1の濃度(1g中1pgの濃度)


  体の中のダイオキシンの排出

 ダイオキシンは主に脂肪の中に蓄えられますが、いつも同じ場所に止まっているのではなく、血液の中に入り、体内を常に循環しています。その一部は肝臓から胆汁とともに十二指腸に出て、小腸の空腸や回腸まで来ると、そこで再び体内に吸収されます。このことを、腸肝循環といい、体外にはなかなか排出されないのです。
 小腸まで出てきたダイオキシンが空腸や回腸から吸収される前に、胃腸では消化されない食物繊維や葉緑素を含んだ食物に吸着させて、体外に排出させることが出来るのです。このように食物繊維や葉緑素を多く含んだ食事を摂ることによって、ダイオキシンが効果的に体外に排出されるのです。


         食物繊維を多く含んだ食べ物
野菜類


野沢菜、クレソン、アシタバ、パセリ、ニガウリ、春菊、オクラ、ブロッコリー、ゴボウ、メキャベツ、ニンニクの茎、ホースラディシュ、ラッキョウ、タケノコなど
きのこ類 マツタケ、シイタケ、マイタケ、エノキダケ、ブナシメジなど
穀  類 小麦胚芽、ライ麦、ライ麦粉、国産小麦、オートミルなど
豆  類 枝豆、グリーンピース、エンドウマメ、ソラマメ、サヤエンドウなど
果実類 キウイフルーツ、温州ミカン、ネーブルオレンジ、ビワ、甘柿、スモモ、夏みかん、アンズなど
種実類 ゴマ、ピスタチオ、ブラジルナッツ、松の実、カシューナッツなど
海草類 コンブつくだ煮、オゴノリ、ヒトエグサつくだ煮、モズク、茎ワカメなど
その他 干し川ノリ、干しヒジキ、干しシイタケ、抹茶、干しアオノリなど


         葉緑素を多く含んだ食べ物
青菜(小松菜、京菜、チンゲンサイなど)、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー、カブの葉、カンラン(ハゴロモカンラン、カキバカンラン)、大麦の若葉、煎茶、根昆布など


  


 


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