トランス脂肪酸を含むマーガリンは危険!

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  トランス脂肪酸の全面的規制に乗り出したニューヨーク
 ニューヨーク市保健精神衛生局は10月26日、市内の飲食店から「トランス脂肪酸」を大幅に減らす計画を発表した。トランス脂肪酸はマーガリンや調理用植物油、菓子などに使われるショートニングなどに含まれ、「トランス脂肪酸」の取りすぎは血液中の「悪玉コレステロール」の増加につながって心臓病の原因になるとされる。一年半かけて、市内の飲食店からトランス脂肪酸をほぼなくすという。
市の計画では、トランス脂肪酸を段階的に減らし、実施一年半年後には、二万四千店以上ある飲食店で出す食品すべてで、トランス脂肪酸の一品あたりの量を0.5グラム以下に抑える。現在、米国人は一日平均6グラム前後の「トランス脂肪酸」を摂取しているとされる。一食で10グラムのトランス脂肪酸を含む場合もある。
市は昨年8月、トランス脂肪酸の取りすぎに警鐘を鳴らし、市内の飲食店に食用油などの自主的切り替えを促してきた。切り替えはごく一部にとどまったため、今回の措置に踏み切った。一方、AP通信は、法律で規制されていない製品の全面禁止はとうてい受け入れられない、とする市の飲食店協会幹部の反応を伝えた。市は10月末に公聴会を開き、早ければ12月に正式に決定したい意向という。
  トランス脂肪酸は心筋梗塞などのリスクファクター
 「バターよりもマーガリンのほうが健康によい」というのが「常識」と思い込んでいる人がまだまだ多いのが現状ではなかろうか。だがそのような常識を否定し、「マーガリンの危険性」を指摘する記事が、8月5日発行の週刊朝日に掲載されたので、ご存知の方もいるだろう。「マーガリンの危険性」については、かなり以前からこのHPでも警鐘を鳴らしてきたところであるが、図らずもその危険性を再認識させられた。
 週刊朝日によると、学術会議出席のために、2年ぶりに米国に出張したある大学教授が、宿泊先のホテルで奇妙なことに気づいた。これまで、バターかマーガリンかを選択できるようになっていたのに、バターだけしかなくて、マーガリンが姿を消していたのだ。米国では政府が、マーガリンの規制に乗り出していて、米食品医薬品局(FDA)が、マーガリンに含まれる脂肪酸の一種である「トランス脂肪酸」が心筋梗塞のリスクを高めるとして規制に乗り出しており、来年1月1日から食品などにトランス脂肪酸の含有量表示を義務化したのだ。このような政府の動きを見て、ホテルなどが出さなくなったのだ。

 米国だけでなく、世界的にトランス脂肪酸を規制する動きは起きている。カナダでは、すでに05年からトランス脂肪酸の含有量の表示が義務化された。デンマーク政府は、トランス脂肪酸を食品に含まれる総油脂量の2%以下にするよう勧告している。ヨーロッパの業界団体では、家庭用マーガリンのトランス脂肪酸含有量を1%以下、業務用マーガリンは5%以下にする方向で検討しているという。
 日本の年間生産量はバターの約9万トンに対して、マーガリンは2倍の約18万トンだ。家庭用マーガリンからの摂取だけでなく、業務用マーガリンやショートニングにもトランス脂肪酸が含まれるため、食品としては市販のパン、ケーキ、フレンチフライ、ドーナッツ、クッキーなどを通じてトランス脂肪酸を摂取してしまうのだ。トランス脂肪酸は脂肪酸の一種で、パンやケーキを作るときに必要なマーガリンやショートニングには0.1〜40%含まれ、家庭で使われるソフトマーガリンの油脂中には平均10%程度含まれている。「トランス脂肪酸」は、菓子パンやケーキ、クッキーなどにも沢山含まれているので、注意していないと、2グラムとされる一日最大摂取量を簡単にオーバーしてしまいます。また、フライポテトなどをカラッと揚げるため、外食産業ではトランス脂肪酸を含んだ油を広く使っています。子供たちに悪影響が出るのではないかと心配です」と警告する専門家もいる。 

 金城学院大学薬学部の奥山治美教授(予防薬食学)らが、遺伝的に高血圧になり脳卒中を起こしやすいネズミに、油脂を10%含む餌を与えて、生存期間を調べた。油脂の成分を変えて調べたところ、トランス脂肪酸を沢山含む餌で育てられたネズミが早死にすることがわかった。
 国際脂肪酸・脂質学会は、99年にトランス脂肪酸の摂取量を一日2グラム未満にするようにという勧告を行ったし、世界保険機構(WHO)は、摂取エネルギーの1%未満(おおよそ一日摂取量は2グラム強)にするように勧告した。トランス脂肪酸の摂取量は、米国成人で一日平均5.8グラム、ヨーロッパでは男性1.2〜6.7グラム、女性1.7〜4.1グラムという調査結果があり、2グラム未満はかなり厳しい数字だ。このような流れのなかで、今回のFDAの決定が行われたわけだ。

 アメリカ・メリーランド州栄養士協会会長で同州栄養諮問委員会の委員長なども務めたことのあるエニグ博士は、脂肪酸についてメリーランド大学と共同で研究してきた結果として、トランス脂肪酸の危険性について次のように述べている。
@ 「トランス脂肪酸」は、細胞膜の性質を変化させる。
A 酵素の働きを妨げる。
B 若い女性の調査では、彼女らが好んで食べている220種類の食品にトランス脂肪酸が含まれている。
C 骨の発達に影響を及ぼす。
D
85,000人の看護婦を調べたハーバード大学の調査では、トランス脂肪酸の摂取の多い者ほど心臓病が多くなっていた。
E 「トランス脂肪酸」は、悪いコレステロールを増やし、よいコレステロールを減らす。
F アメリカ人のとる脂肪の平均20%はトランス脂肪酸になっている。
G 「トランス脂肪酸」は、筋肉細胞を変化させ、肥満を招く。
H 体の脂肪細胞の大きさ、数に変化を与える。(これも肥満の原因になる)
I 「トランス脂肪酸」は、母乳中の乳脂肪分を減らし、母乳の質を低下させる。

なおエニグ博士は、アメリカのハンバーガーショップのM社が動物性の脂肪を全部追放して植物性の硬化油(水素添加で植物油を固形にし、使うときに熱で溶かす。この方が使いやすく長持ちする)にしたことで、同社の食品に含まれる脂肪中のトランス脂肪酸は5%前後から45%前後に急上昇したという話もしている。日本のハンバーガーショップのM社やフライドチキンのK社でも、トランス脂肪酸を含む硬化油を使っている。K社の本社(日本)では、「当社では植物油を使い、動物性脂肪は使っていません」と健康にはその方がよいという考えのようだ。硬化油だからなるほど原料は植物油に違いないが、その植物油はトランス脂肪酸でいっぱいで、動物性の脂肪よりはるかに品質の悪い脂肪なのである。また繰り返しになるがフライドポテトにも、この植物性の固形油が使われていて、トランス脂肪酸が沢山含まれている。(今村 光一氏の著書「キレない子どもを作る食事と食べ方」より)
日本における食品中のトランス脂肪酸含有率
食品の脂質中のトランス脂肪酸含有率について、デンマークが規制の基準とする2%に準じて、2%以内は〇、超えるものは×とした。

資料1−食品の脂質中のトランス脂肪酸含有率
 商 品 名 *基準(2%)
雪印ネオソフト  5.9 ×
明治コーンソフト 12.7 ×
小岩井マーガリン  1.8
ラーマ バター風味 10.0 ×
日清 とっても便利なショートニング 14.7 ×
雪印 北海道バター  2.2
マグドナルド マックフライポテト 20.5 ×
アンデルセン クロワッサン  1.6
山崎 シュガーロール 10.4 ×
スジャータP 褐色の恋人 20.8 ×
森永 クリープポーション  1.2
日清 カップヌードル  0.2
Calbee ポテトチップスうすしお味  0.5
(出典−食品と暮らしの安全−検査機関−日本食品分析センター)
*雪印 北海道バターのトランス脂肪酸含有率は2.2%ですが、天然系なので、基準内の〇とした。

資料2−食用油の脂質中のトランス脂肪酸含有率
 商 品 名 基準(2%)
Y沢製油 Mなたねサラダ油 8.5 ×
Hコーポレーション Hサラダ油 2.4 ×
Hコーポレーション S鉱油 2.4 ×
Y原製油 天麩羅油  2.1 ×
大手N社 サラダ油  1.6
大手K社 E揚げ油 1.5
日本S連合会 Kサラダ油 1.2
大手A社 サラダ油 1.0
マヨネーズメーカー マヨネーズ 1.7
出典−書籍「危険な油が病気を起こしている」訳者、今村光一氏(オフィス今村)
検査機関−総合分析センターSGS研究所(カナダ、バンクーバー)、1998年6月〜8月

資料3−マーガリンの脂質中のトランス脂肪酸含有率
 商 品 名 基準(2%)
日本S連合会 Kソフトマーガリン 13.9 ×
Y乳業 Nマーガリン  13.8 ×
日本R Rソフト 11.8 ×
M乳業 Kソフト 10.9 ×
出典−書籍「危険な油が病気を起こしている」訳者、今村光一氏(オフィス今村)
検査機関−総合分析センターSGS研究所(カナダ、バンクーバー)、1998年6月〜8月

資料4−雪印乳業のマーガリンの脂質中のトランス脂肪酸含有率
 商 品 名 含有量(g/商品10g)
雪印ネオソフト 0.3
雪印ネオソフトハーフ 0.3
雪印ネオソフトべに花 0.5
雪印ネオソフト綿実油ブレンド 0.1
雪印リセッタソフト 0.3
雪印ケーキ用マーガリン 0.6
出典−雪印乳業HP、平成18年10月31日
検査機関−自社、検査方法−Gas Chromatography法
※「なお、当社市販の主要マーガリン類のトランス脂肪酸含有量は、外部検査機関によっても確認しております。」と言っているが、そのデータは公表されていない。


雪印乳業の上記データを参考にして
マーガリンの脂質中のトランス脂肪酸含有率
 商 品 名 含有量(g/商品100g) 脂質/商品100g中 基準(2%)
雪印ネオソフト 3.0 脂質75g平均として 4.0 ×
雪印ネオソフトハーフ 3.0 4.0 ×
雪印ネオソフトべに花 5.0 6.6 ×
雪印ネオソフト綿実油ブレンド 1.0 1.3
雪印リセッタソフト 3.0 4.0 ×
雪印ケーキ用マーガリン 6.0 8.0 ×
このデータは雪印乳業の上記データを参考した当HPの見解です。但し、商品100g中の脂質の割合はあくまでも推定値なので、トランス脂肪酸含有率は確定値ではないことをお断りしておく。

1.マーガリンについて
メーカー、商品の種類の違いは当然として、同じ商品でも検査機関、分析方法によっても脂質中のトランス脂肪酸含有率は多少違ってくるが、メーカー(Y乳業)自身のデータでもその含有率は4.0%もあり、カナダ、バンクーバーの総合分析センターSGS研究所の分析結果に至っては10%〜14%と極めて高い値を示している。マーガリンのほとんど9割以上は、トランス脂肪酸含有率の基準を2%とするとアウトである。
上のデータで基準の2%以内は、小岩井マーガリンの1.8%、雪印ネオソフト綿実油ブレンドの1.3%の2商品のみである。
2.食用油について
食用油については、カナダ、バンクーバーの総合分析センターSGS研究所の分析結果しかデータがなくサンプル数が少ないが、食用油の4割近くは、トランス脂肪酸含有率の基準の2%を超えている。
これはマーガリンと比べると低いデータとなってはいるが、食用油の製造のほとんどが圧搾式ではなく、高温加熱、触媒の使用など化学的・工業的に大量生産する方法が採られていて、その際にトランス脂肪酸が派生することによる。

3.フライドポテトについて
フライドポテトのトランス脂肪酸含有率は20.5%と極めて高い。M社のフライドポテト(Mサイズ)はその量が135gで、その内脂質は22.1gなので、その20.5%、4.5gがトランス脂肪酸である。それにハンバーガー、コーヒーフレッシュに含まれる分を足すと、「トランス脂肪酸」は、さらに増える。
日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量1.56g(内閣府食品安全委員会)を簡単にオーバーしてしまう。フライドポテト、ハンバーガー、フライドチキンなどファーストフードをよく食べる人は、そのリスクが高いと考えられる。
4.コーヒーフレッシュについて
S社の商品はその含有率20.8%で、森永 クリープポーションの「トランス脂肪酸」の含有率1.2%の実に17倍である。そもそもコーヒーフレッシュそのものが乳製品でなく、植物性油脂に添加物で白濁させてあるだけの「ごまかし商品」なのに、その上さらにトランス脂肪酸含有率の高い植物性油脂を使っているとは驚きです。一回に使われる量は少ないとはいえ、このような商品は避けたいものです。

コーヒーフレッシュ参照

5.ショートニングについて
ショートニングは業務用マーガリンとともに、パン、ケーキ、フレンチフライ、ドーナッツ、クッキーなどによく使われている。ショートニングは、大豆油、なたね油、コーン油、綿実油などの植物性油を主原料として、これに10〜20%の窒素ガスや空気とともに乳化剤などを含ませた物です。ショートニングを使った製品は可塑性油脂食品といい、ビスケットやクッキーのようにもろく、砕けやすい性質になる。
このショートニングのトランス脂肪酸含有率が15%位前後有り、私たちはパン、ケーキ、ビスケットやクッキーなどからも知らないうちにトランス脂肪酸を摂取していることになる。
  マーガリンになぜトランス脂肪酸が多いのか?
 マーガリンの主原料は、コーンなどの植物油だが、植物油は常温で液体なのに、マーガリンは個体になっている。これは、油を固めるために化学処理がなされているためである。つまり、植物油の脂肪酸分子(不飽和脂肪酸)に高圧、高温下で触媒を使って水素原子を強引にくっつける作業によって水素を添加するもので、「水添(すいてん)」と呼ばれたりする。こうすると、植物油も動物性脂肪のバターと同じように飽和脂肪酸になって固まる。だから、正確に言うとマーガリンは、水添されて植物油ではなくなっているのに、多くの人は植物油と錯覚している。91年に発行された、厚生省・日本医師会編集の「高脂血症診療の手引き」では、高コレステロール血症に対する食事療法の項で、「バター、ラード、牛脂をリノール酸の多いマーガリンや植物油に切り替える必要がある」とされ、今まで広く指導されてきた。しかし、マーガリンを作る課程で、植物油に含まれていたリノール酸(不飽和脂肪酸)は、「水添」によってかなりの部分が動物性脂肪と同じように飽和脂肪酸になっているのある。
 しかも、マーガリンには、自然な動物性脂肪のバター(飽和脂肪酸)には含まれていない、危険な脂肪であるトランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)まで含まれている。つまり、脂肪の主成分である脂肪酸は、炭素・水素・酸素が結合してできているのだが、「水添」という化学処理によって不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に転換する際に、飽和脂肪酸にならなかった一部の不飽和脂肪酸の炭素と水素のシス型結合がトランス型に変化し、直線状の構造を持つようになる。これをトランス脂肪酸という。「水添」の際に、このようなトランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)が一定の割合で生じてしまうのである。シス型とトランス型のように、分子式は同一だが構造が異なる分子、またはそのような分子からなる化合物を異性体(isomer)と呼ぶ。このような異性体は科学的な性質などが全く違うことはよくあることなのである。このトランス脂肪酸は、自然界には微量にしか存在せず、人体にも全く不必要なだけでなく、人体に害をおよぼすと、米国のFDAは指摘したわけである。



 実は、業務用の植物性の食用油にも多くのトランス脂肪酸が含まれている。というのは、現代では多くの食用油が昔風の圧搾絞りではなく、原料に化学溶剤をぶっかけて脂肪成分を溶出させ、その後で溶剤を高温高圧下で取り除いたり、脱臭したりといった化学工業的なやり方で製造されているからだ。そのうえ食用油を商業的に長持ちさせるために、マーガリンの時ほどでなくとも部分的水素添加をするという効率だけ重視した製造法がとられている。これらの課程でトランス脂肪酸が生じるのはすでに述べた通りである。




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